平均寿命の上昇や高齢化により介護を必要とする高齢の方が増える一方、介護人材は不足していることが知られています。
厚生労働省は2025年度末までに約55万人、年間約6万人程度の介護人材の確保が必要であるとしており、その対応の1つに多様な人材の確保・育成や外国人材の受入環境整備を掲げています。
今回は、外国人材の受け入れ制度の1つである「技能実習生制度」と「特定技能制度」を介護分野に焦点を当ててご説明します。
※なお、技能実習制度についてはより良い制度に変更する議論がなされており、今後制度内容が変更となる場合があります。
1993年に制度化された技能実習生制度ですが、介護職種で外国人を受け入れることができるようになったのは実はわりと近年(2017年)です。他の職種に比べると外国人の数もまだまだ少ないため、ご存じでなかった方もいるかもしれません。
ただ、建築現場などで外国人を見ることもそれほど珍しくなくなってきたように、今後介護の現場に外国人がいることも当たり前になってくるかもしれませんね。
技能実習制度では、介護業務を以下のように定義しています。
身体上または精神上の障害があることにより、日常生活を営むのに支障がある人に対し、入浴や排泄、食事などの身体上の介助やこれに関連する業務
もう少し具体的に見ていきましょう。
技能実習生制度の趣旨は技術や技能の移転であるため、従事する業務のうち、「必須業務」と「関連業務・周辺業務」といった考え方があります。
必須業務:技能実習生が技能や知識を修得するために必ず行わなければならない業務で、以下のような業務となります。また、業務に従事させる全時間の2分の1以上実施する必要があります。
関連業務・周辺業務:関連業務は必須業務に関連して行われることがあり、修得をさせようとする技能や知識の向上に寄与する業務で、業務に従事させる全時間の2分の1以下の実施にする必要があります。周辺業務は必須業務に関連して通常携わる業務で、業務に従事させる全時間の3分の1以下の実施にする必要があります。
技能実習生を初めて受け入れた事業所などでは、通常の実習期間は3年(技能実習1号で1年、技能実習2号で2年)です。
優良な監理団体(協同組合等)に所属し、事業者自身も優良な実習実施機関と認定された場合は、技能実習3号に移行することができ、実習期間は最長5年となります。
技能実習終了後は本国に帰国するか、または特定技能1号に移行することができるとさらに5年間在籍することも可能です。
さらに、技能実習期間中に「介護福祉士」の国家資格を取得すれば、在留資格を変更して、日本で永続的に働くこともできます。
■一般の実習実施機関
■優良な実習実施機関
在留資格「特定技能」は、深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度として、2019年に施行されました。
介護と聞くと、高齢者の介護をイメージしますが、障害児入所施設や就労継続支援(リハビリテーション)も特定技能での就労の対象となります。
特定技能人材が従事する業務は、身体介護と支援業務です。
身体介護:施設利用者の心身の状態に応じた食事や入浴、排せつの介助など
支援業務:身体介護にともなうレクリエーションの実施や機能訓練の補助など
また、日本人が通常従事する関連業務(備品の補充、福祉用具の点検、安全衛生教育など)も基本的な業務に含まれます。
特定技能外国人を新規で受け入れる場合、「特定技能1号」として最長5年間在留することが可能です。
さらに、就労期間中に「介護福祉士」の国家資格を取得すれば、在留資格を変更して、日本で永続的に働くこともできます。
また「技能実習」終了後「特定技能1号」に移行することも可能です。
特定技能外国人を新規で受け入れる方法は主に以下のいずれかになります。
今回は介護職種の技能実習生の業務内容についてご紹介しました。
いざ外国人を受け入れようとすると、調べないといけないこともたくさんあり、現場業務が忙しい責任者の皆様には悩みの種と思います。
外国人の受け入れについて、ざっくばらんに相談してみたい。そもそもの制度について教えてほしい。
そのような場合は 城北管理協同組合 までお気軽にお問い合わせください。